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アンカリング効果が価格戦略を左右する

更新日:5 日前



ファシリテーション

人はモノやサービスの価格を、絶対的に判断しているわけではありません。

「これはこのくらいだろう」という“基準(アンカー)”と比較して判断しているのです。

これをアンカリング効果と呼びます。集客や価格戦略において、この心理は非常に大きな影響を及ぼします。


【平均価格「8,000円」が、意思決定の分岐点になる】

現在、美容室の女性の平均客単価はおよそ7,400~7,500円台にあります。この水準は、2019年から約1,000円上昇しています。

つまり、多くのお客様は現在の市場における価格感を「カット+カラーで8,000円くらい」という基準で捉えているのです。

このラインを超えているか、下回っているかで、「高い」「安い」の判断が瞬時に下されます。


【値上げ=収益増ではない。むしろ逆もある】

実際、価格を1,000円上げると客数は平均5%前後減少するというデータもあります。

来店頻度も同様に、2019年から2024年で年間約0.21回減少しており、これは約4.6%の減少に相当します。

つまり、「単価が上がった=売上が伸びた」ではなく、客数が減少したことによる損益分岐の崩れが起きている可能性もあるということです。


【高単価を超えて来てもらうには、“納得の理由”が要る】

では、8,000円を超える価格帯でも選ばれるためにはどうすれば良いか。

「評価が非常に高い」「ここでしかできない技術がある」「想像を超えるような体験がある」

こうした明確な納得理由がなければ、お客様は価格に見合った価値を感じません。むしろ、「価格の割に…」とマイナス評価につながるリスクもあります。

最も理想的なのは、「思ったよりずっと良かった」「この内容なら高くない」という“プラスのギャップ(サプライズ)”を提供することです。


【判断基準は、お客様の頭の中にある】

価格の設計は、原価や利益率だけで決めるものではありません。

「お客様が何を基準に判断しているか」を深く理解すること。

そしてその基準が今どこにあるのか、どのように変化してきたのかを把握した上で、戦略的に設計された価格である必要があります。

価格は、ただの数字ではありません。意思決定を左右する“心理的な境界線”です。

その境界をどう越えさせるか。そこに、マーケティングの真価が問われています。


 
 
 

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