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単なる値上げは客離れをまねく

更新日:5 日前




レクチャー

最近、美容業界では高単価メニューの導入が目立ちます。15,000円、20,000円といったコースを追加し、単価アップによる売上拡大を目指す戦略です。

確かに、上位客層の中にはそのメニューを選ぶ人もいます。しかし、それは“売上を伸ばす戦略”ではなく、“顧客を分断する戦略”になっている可能性もあるのです。


実は間違っている「単価引き上げ」の発想

高単価メニューを新設することで、「上位層が買えば売上が上がる」という考え方は一見正しく見えます。ですが、それは「一部の人が上がる代わりに、他の人が離脱するリスク」を伴います。

値上げによって価格が上がれば、一定数のお客様は離れていきます。特に中間層に位置する顧客が「自分の価格帯が消えた」と感じた時、その影響は大きくなります。


戦略的に見るべきは、“中間層の引き上げ”

価格が例えば「5,000円/6,000円/7,000円」と設定されていたとします。このとき、7,000円のメニューまで1メニューずつ加えるだけで価格差を埋めようとするのが通常ですが、あえて+2メニュー、つまり“お得感”を持たせてボリュームを上げるとどうなるか?


例えばこうです:

  • 6,000円 → 1メニュー追加(原価+100円)

  • 7,000円 → 3メニュー追加(原価+300円)

このとき、原価率は上がるかもしれません。ですが、純利益は確実に上がる構成になります。


数%の移動が、全体を変える

もし、5,000円メニューを選んでいたお客様の数%が7,000円に、6,000円メニューを選んでいたお客様の数%が7,000円にシフトするだけで、平均客単価はじわりと上昇します。

その結果、原価率が多少上がっても、粗利の絶対額が増えるという結果につながります。


上位を上げる戦略を否定しない。ただし…

もちろん、富裕層向けに上位メニューを強化する戦略自体は有効です。しかし、来店全体の構成比を考えれば、中間層をどう引き上げるかの方が、売上にも利益にも直結します。


データを見れば、価格帯別の客構成がヒントになる

だからこそ重要なのが、現在どの価格帯に顧客が分布しているのかの把握です。

  • 5,000円の客が多いのか?

  • 6,000円に集まっているのか?

  • 7,000円は選ばれていないのか?

この分布を可視化するだけで、どこに“値上げ余地”があるのかが見えてきます。


値上げとは、ただ価格を引き上げることではありません。「どの層を、どう誘導するか」の設計があって初めて意味を持つのです。

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