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ポジショニングは「なりたい姿」ではない――それはマーケットとの対話からしか生まれない


そのポジショニング、正しいですか?
そのポジショニング、正しいですか?

1. なぜ、ほとんどの美容室が高単価を目指すのか

美容室業界ではここ数年、「高単価サロンを目指す」という考え方が一気に広がりました。

長時間労働、人材確保の難しさ、将来への不安。


そうした背景を考えれば、高単価を目指す発想そのものは合理的です。

ただし、合理的であることと、戦略として成立しているかは別の話です。


2. 高価格帯サロンの顧客は、実はごく一部である

現実として、高価格帯のサロンに継続して通うお客様は全体の約10%程度と言われています。

市場としては決して大きくありません。


その限られたゾーンに多くのサロンが流れ込んだ結果、

競争は激化し、差別化は曖昧になっていきました。

ここで、すでにポジショニングの歪みが生まれていたとも言えます。


3. 売上は「客数 × 単価」という当たり前の話

売上は「客数 × 単価」で決まります。

単価を上げれば売上が伸びるとは限りません。


重要なのは、単価を上げたときに客数がどう変化するかです。

この視点を欠いたまま価格を動かすと、経営は一気に不安定になります。


4. マーケットを見る目が、正直足りなかった

コロナ以降、物価上昇と最低賃金の引き上げによって、人件費が増加しました。

価格転嫁そのものは、必要であり、間違いではありません。

問題は「どう上げたか」です。


5. “考えない値上げ”が招いた違和感

例えば、明確な根拠や価値設計がないまま、カット料金を一律で1,000円上げる。


客層、来店頻度、地域性、お客様の消費行動を十分に分析しないまま価格だけを動かす。


これは戦略ではなく、内部事情を優先した判断だったのではないでしょうか。


6. お客様は、不満を言わずに行動で判断する

一方でお客様側では、物価上昇による家計の見直しが進んでいました。

削れる支出を考えたとき、美容室に使うお金が候補に上がるのは自然な流れです。


しかも、「高い=明確に良い」と実感できる体験が、常に伴っていたわけではありません。

お客様は不満を口にせず、静かに行動を変えていきました。


7. 値下げが始まったのは、失敗ではなく調整である

昨年秋頃から、値下げやキャンペーンを再開するサロンが増えました。

これは失敗ではなく、市場と価格のズレを修正する動きと見るべきでしょう。

値上げも値下げも、ポジショニング不在のままではうまくいかないのです。


8. ポジショニングは、価格を決める前に考えるもの

価格は戦略ではありません。戦略の結果です。


誰を顧客とするのか。

どの価格帯で、どの頻度で来てもらうのか。

そのために、どんなスタッフ構成とオペレーションが必要なのか。


これらを決めずに価格だけを動かすのは危険です。


9. 本来的に成立しやすいのは中価格帯という仮説

多くの地域において、本来的に成立しやすいのは中価格帯、もしくはそこから少し下のゾーンではないかと感じています。


市場規模が大きく、客数が安定しやすく、生活の中に無理なく組み込まれる価格帯です。

その方が、お客様も長く付き合え、働く側も疲弊しにくい。


10. ポジショニングは「なりたい姿」ではなく、マーケットとの対話

ポジショニングは理想像を掲げることではありません。

マーケットを見て、顧客の行動を観察し、調整を重ねること。

その対話の積み重ねの中でしか、本当に強いポジションは生まれません。


なりたい姿より、成立する場所。


そこを見誤らないことが、これからの美容室経営には求められているのだと思います。

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