美容室は“10年寿命”なのか?──倒産記事に隠れた本質
- michio kobayashi
- 9月25日
- 読了時間: 3分

最近、「美容室の倒産が増えている」という記事を見かけますね。倒産理由として語られるのは、人材不足や集客の難化などが中心です。しかし、これは実は目新しい話ではありません。
そもそも、こうした課題は10年・20年前からずっと言われてきたこと。むしろ、今目立つのは「寿命を迎えた美容室が増えてきた」という視点です。
■ カリスマ時代が生んだ“出店ラッシュ”の代償
1990年代後半〜2000年代にかけて、いわゆるカリスマ美容師ブームが到来。それに乗じて全国で美容室の出店が相次ぎました。
例えば、厚生労働省のデータによれば、2000年頃に全国で18万店舗弱だった美容室は、2024年には25万店を超えています。いわば、美容室バブルとも言える状態なのです。
当然ながら、どの業界にも“寿命”というものがあります。その結果として今、出店から10〜15年経過した美容室が、次々と岐路に立たされているという構図なのです。
■ 美容室の寿命は「年齢構成」で決まる
見方を変えると、美容室の多くは出店から10年をピークに徐々に下降線を辿る傾向があります。この理由の本質は、人の入れ替えが起きないまま年齢層が固定化して上昇してしまうことにあります。
たとえば、オーナーが40代後半に差しかかる頃、若手の美容師が定着せず、店舗の雰囲気やスタイルが数年前と変わらないままだと、顧客層とのズレが生じます。美容室の魅力は「技術力」だけでなく、「トレンドとの親和性」や「若い感性の発信力」でも支えられています。
つまり、集客力の減退は、オーナーの年齢そのものではなく、“世代交代の設計ができていない”ことに原因があるのです。
■ 誰も言わなかった「美容室の老化」
多くの美容師が感覚的に抱いている違和感ですが、これまであまり明確に言語化されてきませんでした。ここでハッキリ言います。
美容室の寿命は、“10〜15年で若手スタッフが活性化できたか”で決まる
つまり、新陳代謝がないまま、オーナーと固定スタッフのみで年月を重ねると、よほどのブランディングや強力なファン層がない限り、「時間が敵になる」のです。
■ 延命ではなく、再設計を
重要なのは「長く続ける」ことではなく、持続可能な経営に設計し直すことです。
・採用力と育成力の確保
・店舗ビジョンを共有するチーム作り
・ターゲットの変化に合わせたスタイル更新
そして何より、“変わり続ける意思”を持つこと
「10年やったから次は安定」という考えが、逆にリスクになります。
■ 終わりに:「老いる美容室」と言わせないために
美容室は感性産業です。だからこそ、“変化しない”ことが最大のリスクになる。
数字上の倒産よりも怖いのは、「客足が少しずつ遠のき、やがて閑古鳥が鳴く」という静かな終焉です。
だから今、考えるべきは「10年後も選ばれるサロン」にどう設計し直すか。
生き残るのは、“強いサロン”ではなく、“変われるサロン”です。



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