「高単価サロン=正解」の時代は終わるのか
- michio kobayashi
- 8月18日
- 読了時間: 3分

――今こそ、“時間単価”の視点を取り戻す
最近、「新規集客が厳しくなってきた」という声を、美容室オーナーの方々から頻繁に聞くようになりました。実際、各地のサロンデータを調べてみると、新規客数が減少傾向にあるのは事実のようです。
ところが、ホットペッパービューティーのユーザー数自体は増加しています。つまり「美容室を探している人」は増えているのに、「自分のサロンに来てもらえない」――ここに大きなミスマッチが生まれています。
では、なぜそんなことが起きているのか?
客単価だけにとらわれると、現場は歪む
ここ数年、多くのサロンが客単価の引き上げに取り組んできました。もちろん、原材料費や人件費の上昇を考えれば、価格の見直しは必然でもあります。
ですが、いま実際に起きているのは、「お客様がその価格に追従できていない」というリアルな反応です。
たとえば、カット+カラー+トリートメントで2万円前後のサロンはざらにあります。しかし、その価格設定は“来てほしいお客様”の現実的な予算感とズレている。
加えて、忘れてはならないのが「時間単価」という視点です。客単価は確かに重要ですが、それだけに囚われると、「1人あたりの施術時間」と「売上効率」のバランスを見失うという重大なミスを犯します。
たとえば、1人のお客様に2時間かけて1.8万円の施術をするのと、1時間で1万円の施術を2人こなすのでは、結果としての売上効率は同等、あるいは後者が上回ることもあります。
時間単価を軽視したまま「高単価化」だけを推進してしまうと、お客様から見れば「時間がかかるうえに高い」サロンとなり、結果として離反につながってしまうのです。
“価格の正義”より“提供価値の再設計”を
価格を上げればブランド力も上がる。単価を上げれば利益も増える。――たしかに理屈ではそうかもしれません。
でも現場では、その価格に対して「お客様が何を感じ、どんな体験を得ているか」まで設計できていなければ、数字だけの独り歩きになってしまいます。
今必要なのは、「価格の正義」を押し付けることではなく、“時間を使って得られる価値”をどう設計するかという、もっと本質的な問いかけです。
「誰に、いくらで、どんな価値を、どれくらいの時間で届けるか?」
この問いを今こそ、サロン側が自らに向ける時期なのではないでしょうか。
その価格は“誰のため”なのか?
どれだけの時間で、何を得られるのか?
サロンとして、どんな価値を持ち帰ってもらいたいのか?
客単価と時間単価、その両方を見据えてこそ、「選ばれる理由」が生まれるのだと、今まさに実感しています。
これは値下げや低価格を推奨しているのではありません。お客様の目にどう映るかという見え方の問題もあります。
興味を持たれた方はお気軽にお声がけください。



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