【料金UPは逆効果?】単価と集客のジレンマを乗り越える
- michio kobayashi
- 9月2日
- 読了時間: 4分
更新日:9月10日

新規予約が伸び悩む――。
そんな声が美容業界で増えてきました。特に目立つのが、予約単価が9,000円を超えると新規客が明らかに減少する傾向です。
「サロンの価値を上げるために価格を見直した」
この判断自体は間違いではありません。ただし、その“価値”が本当にお客様に伝わっているか? という問いは、常に自問する必要があります。
価格と新規集客の現実:数字で見るお客様の反応
実際に私たちが支援している複数のサロンデータを分析すると、以下のような傾向が確認できます。
予約単価 | 昨対比の傾向 | 特記事項 |
~7,500円前後 | 維持 | 新店や価格調整サロンで増加傾向もあり |
8,000円台前半 | 横ばい〜微増 | 内容次第で評価分かれるゾーン |
9,000円台 | 微減〜減少 | 特化しないと厳しい選別を受ける |
10,000円以上 | 維持〜減少 | ブランディングや特化型でなければ難しい |
このように、価格が1,000円上がるだけで、昨対比で大きく集客に差が出るケースもあるのです。
「新規のお客様に来店して欲しい」が難しいのはなぜか?
ホットペッパーの平均予約単価は、コロナ前から約800円上昇しています。
値上がり率にすると約12%。
いま、足元で物価は何パーセント上がっているかご存じでしょうか?
平均で約3%、家計を直撃する食品で8%弱です。
つまり、美容室はかなりの値上げをしているのです。
カット料金500円UP、1000円UP、
それは何パーセントUPですか?
値上げが悪いのではありません。どういう根拠で上げたのか?が大切なのです。
価格≠価値? そのギャップが集客減を引き起こす
価格を上げる=サービスの価値を高める、というのは作り手側の視点。
一方で、お客様がその価格に「納得」できていないなら、集客は確実に減ります。
特に美容室のような「生活必需品ではない」サービスにおいては、価格設定はセンシティブです。
コロナ前の価格イメージがまだ根強く残る中で、サロン側の意図とお客様の判断軸が乖離すると、価格UPはむしろ逆効果になることも。
ではどうする?──答えは「時間単価」の発想にあり
価格を上げたい。でも客数は減らしたくない。
このジレンマを解消するには、「時間単価(1時間あたりの売上効率)」の考え方を導入することがカギになります。
時間単価が高ければ、少ない客数でも売上を維持できます。問題は、施術時間が読めない、無駄が出る、予約にムラがある… などの現場課題。
ですが、時間帯ごとの売上や予約状況を分析すれば、
・どの時間帯に効率が悪いか
・どのメニューが時間単価を下げているか
が明確になり、対策が打てるようになります。
あるサロンでは2時間以上のメニューを取りやめました。
効率が極端に落ちる、施術時間のブレが大きくなる、といった理由からです。
価格UPの前に、「提供価値」と「時間効率」の見直しを
人件費・材料費・広告費…
上昇するコストを背景に、価格UPを検討するのは当然の流れです。
しかし、お客様が望んでいないものを「価値」と思い込んで押し付けるのは、ただの独りよがりです。
今こそ、マーケティング的な視点で自サロンを見直すタイミングなのです。
価格、メニュー設計、時間の使い方、すべてが「価値」としてどう伝わっているのか。
それを見える化する仕組みを私たちは提供しています。
まとめ
価格の引き上げは、サロン価値の向上に不可欠だが、
お客様の価値判断とズレると、逆効果になる
現状の新規集客状況を見る限り、単純な価格UPはリスクが大きい
今こそ必要なのは、「時間単価をどう上げるか?」という視点
時間帯ごとの売上分析を行えば、ムダを減らし、利益構造は変えられる
「高くても納得される」ではなく、「無理なく利益を出せる」仕組みづくりへ
私たちは単なる値上げではなく、
「時間×価値」で効率的に売上を生む戦略設計をサポートしています。
値上げよりも、まずやるべきは“構造の見直し”かもしれません。



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