美容室倒産の本当の理由──「苦境」ではなく構造の問題
- michio kobayashi
- 1 日前
- 読了時間: 3分

「苦境」という報道の見方を変える
報道を見ていると、「美容室が苦境にある」「倒産件数が増えている」といったニュースが頻繁に目に入ります。
確かに、倒産や廃業が増えているのは事実です。
しかし、単純に「経営が苦しいから倒産が増えた」と捉えるのは正確ではありません。
美容室業界では、もともと出店数が増え続けてきたという背景があります。
出店が増えれば、時間の経過とともに倒産や廃業も増える。
これは自然な因果関係です。いわば「分母が増えたから、絶対数が増えた」というだけのこと。
表面的な数字だけを見て“業界全体が苦境”と結論づけるのは早計です。
「老けるサロン」が増えているという現実
一方で、最近顕著になっているのが“老けるサロン”の存在です。
ここで言う「老ける」とは、建物や設備の古さだけではありません。
経営や発信、働く人の意識までが徐々に停滞し、
サロン全体が活力を失っていく状態を指します。
多くのサロンは開業当初、集客やリピート施策に集中します。
しかし、次のステージ(拡張・承継・再構築)を見据えた設計を持たないまま年月を重ねると、
いつの間にか物心両面での体力を失い、方向転換ができなくなる時期を迎えます。
実際には、開業から10年以内に衰退カーブを描きはじめ、
20年を迎えるころには営業継続の判断を迫られるケースが多いのです。
この段階で動こうとしても、時間も気力も残されていない。
だからこそ、早い段階から次のステージを構想することが必要になります。
次世代へつなぐための「仕組み化」と「知識」
持続できるサロンに共通しているのは、早期からの準備です。
人材育成や後継者育成、店舗運営の共有化など、
“次に引き継ぐ仕組み”を開業当初から考えているサロンほど、
衰退期を迎えても安定した運営ができています。
問題は、この仕組みづくりが物心両面の体力が残っているうちにしかできないということです。
精神的にも経済的にも余裕のある時期だからこそ、学びや投資、次の構想が実現できるのです。
また、第二ステージを築くためには、
今までにない経営知識やデータの読み方、スタッフマネジメントなど、
新たな学びが求められます。
ところが実際には、現場に追われて体系的に学ぶ機会を持てないオーナーが多く、
“次を描く前に限界が来る”という現象が起きています。
まとめ──早くから「次」を描くことが未来を守る
美容室の廃業が増えているのは、単に苦境だからではありません。
次のステージを描かないまま時間が経過した結果でもあります。
だからこそ、今のうちに考えることが重要です。
自分のサロンをどのように成長させ、誰に引き継いでいくのか。
これは、10年後・20年後を見据えた経営者にとって避けて通れないテーマです。
私たちは、こうした「次のステージ設計」や「仕組み化」に関するご相談にも対応しています。
どこから始めればいいか分からない段階でも構いません。
体力のあるうちに動くこと。
それが、サロンの未来を守る最良の一歩です。



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