誰に、どこで、何を届けるか ― サロン経営の核心にある選択
- michio kobayashi
- 5 日前
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美容師になって実力をつけてくると、多くの人がこう思います。
「1度の施術で2万、3万と頂ける美容師になりたい」と。
つまり、高単価の美容師になること、高単価のサロンを作ることを目指すわけですね。
成功の形を“ハイクラス”や“ハイエンドな存在”に定めるという、目標の置き方自体は、否定するものではありません。それはポジショニングとマネタイズの問題です。
ただし、その道は非常に狭き門です。
そうなるには、ソフト(技術・接客)とハード(場所・店舗インフラ)だけでなく、マーケティング的な発想も必要になります。
つまり、「1度に2〜3万円使うお客様がどの程度存在するのか?」という現実問題に直面するということです。残念ながら、このデータは明確には存在しません。
ただし、1万円以上を使うお客様は全体の20%弱であり、2〜3万円となると通常は5%以下にまで減少すると見られます。
ハイエンドな美容師・サロンになることは可能です。
ですが、どこでやるのか、どうやってお客様に認めてもらうのかという観点で見ると、かなりハードルの高い話になります。
諦める必要はありません。ただし、成功の形やゴールをどこに置くかで、運営方法はまったく変わってきます。
「稼ぐ」ことを成功の定義とするのであれば、平均単価7000円前後をターゲットにし、アクセスの良い立地、将来性のある街で運営するのが現実的です。
売上=客数 × 単価 です。高単価で集客に不安を抱えるチャレンジを避け、平均より少し低めの価格設定で確実に集客する。これが商売としてはもっとも堅実です。
また、「多くのお客様に人生の彩を届けたい」という目的であっても、本質は同じです。
たとえば、「髪で悩みに悩んで、ようやく自分を見つけてくれた」というお客様に絞り込んだとしても、思ったような売上が上がらないのでは、理想と現実がかけ離れてしまう恐れがあります。
しかも価格を下げてもお客様の悩みに寄り添うことは問題なく可能です。
経営者側に立つのであれば、「どのマーケットを捉えるのか」「その中でどのポジションを取るのか」を明確にする必要があります。また、人を雇って運営する場合には、その考え方にスタッフからも共感を得られる設計が必要です。
この点が曖昧であったり、言語化されていないサロンが多いのが実情です。
商売の継続性を考えるならば、ここは非常に重要な要素です。マーケティングの力を養い、データを読み解き、自分たちの立ち位置を明確にすること、表現できること。それが、これからの時代を生き残る経営者に求められる視点です。
このようなご相談も受け付けていますので、お気軽にどうぞ。
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