美容室の集客は本当に落ちているのか?──数字で見る“静かに進む変化”
- 4月21日
- 読了時間: 3分

「集客が弱い」は感覚ではない
最近、「新規が続かない」「集客が弱くなった」という声が増えています。これは単なる景気の波ではなく、構造的な変化です。
実際、日本政策金融公庫の調査では、美容室の経営課題として「顧客数の減少」が42.5%で最多。多くのサロンが同じ問題を感じています。
ただし、「市場が縮小している」という理解は正確ではありません。
売上は伸びているが、客数は伸びていない
ホットペッパービューティーアカデミーのデータでは、
2025年上期の美容室市場は前年比+2.5%(約1.38兆円)。
一見すると成長しています。
しかし中身を見ると、
・女性の年間来店回数:4.30回(ほぼ横ばい)
・男性:5.24回(減少傾向)
・店販:減少傾向
つまり、利用頻度は増えていない。売上の伸びは単価上昇によるものです。
「お客様が増えている」のではなく、単価で支えている市場に変わっています。
店舗数は増え、競争は確実に激化している
供給側は逆に増え続けています。
美容室は全国で約27万店舗。さらに倒産件数は2024年に100件超で過去最多水準となり、2025年も高水準が続いています。
つまり、
客数は横ばい〜減少
店舗は増加
倒産も増加
この3点が同時に起きています。
競争が厳しくなるのは当然です。
なぜ「新規が続かない」のか
現場でよくある「オープン直後は埋まったが、3ヶ月後に落ちた」という現象。
これもデータと一致します。
初回来店の理由は、
・立地(近さ):34.1%
・価格:31.1%
・口コミ(特に10〜30代)
つまり新規は「条件」で選ばれる。
一方、再来理由は、
・ネット予約の利便性:36.8%・通いやすさ:31.6%
つまり継続は「体験」で決まる。
このズレがある限り、初速は出ても持続しません。
専門店に流れる理由
さらに、専門店の利用は明確に増えています。
・女性:カット専門 18.8%
・男性:カット専門 28.7%
理由は単純で、「何が強い店か」が一瞬で分かるからです。
総合店は「何でもできる」反面、強みが伝わりにくい。
結果として、「選ばれる理由」が弱くなります。
20代ターゲットの限界
人口構造も無視できません。
・20代:約1,277万人
・45〜54歳:約1,856万人
約600万人の差があります。
それでも多くのサロンは20代中心設計のまま。
これは最も競争が激しい層に集中している状態です。
今起きていること
整理すると、こうなります。
・市場:+2.5%(単価上昇)
・来店回数:横ばい〜減少
・店舗数:増加
・倒産:増加
つまり、客数が伸びない中での取り合いです。
集客が落ちたのではなく、集客の難易度が上がったと捉えるべきです。
では、何を見直すべきか
対策はシンプルです。
・再来設計(初回来店で次の理由を作る)
・強みの明確化(何が得意かを一瞬で伝える)
・ターゲットの再設計(20代依存からの脱却)
いずれも「施策」ではなく「設計」の話です。
最後に
今の美容室の集客は、施策の数で解決する問題ではありません。構造を理解した上で設計できているかどうかで結果が分かれます。
ただ、この構造は現場にいるほど見えにくい。日々の運営の中で違和感はあっても、どこがズレているのかを整理するのは簡単ではありません。
私たちは、この市場構造を前提に、集客を「施策」ではなく「設計」として整理します。
どこで取り、どこでつなぎ、どこで離れているのかを可視化し、改善に落とし込みます。
「なんとなく埋まらない」と感じている場合、それはやり方ではなく前提がズレている可能性があります。一度、構造から見直すという選択肢も検討してみてください。



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